2008年07月15日

○○っぽい

巷で人気上昇中のSUPERFLYというユニット(バンド?)
ちょっと前の『マニフェスト』という曲(曲名はどうかと思ったが)をはじめアーシーで骨太な女性ボーカルとカッコイイ曲調でなかなかいい
しかもこの女性シンガー、ブルーズハープを吹く姿も様になってるから侮れない

何故か「ジャニスを彷彿とさせる」と表現される彼女だが、ジャニスってジャニス・イアン・・・じゃなくて(と、一応ボケてみつつ)ジャニス・ジョプリン?
なんだろうけど、どう考えてもジャニスじゃないだろ、と言いたくなる

歌声や歌唱法は似てるとは思えないしたとえ雰囲気が似ていようが比べて何になろうか
マスコミが悪いんだろうが、ちょっと60~70年代っぽいレトロな雰囲気の女性シンガーが出てくると何かにつけて「ジャニス」を基準にしたがる悪い癖に正直、うんざりする

それより純粋にSUPERFLYのオトそのものを評価すべきだし、いちいち比べたりしなきゃ音楽を聴けないのか?と

最近は皆、プロアマ関係なく歌の上手い人(または演奏技術の上手な人)が多くなり、日本人でも当たり前にHIP HOPを音楽に取り入れたり「ソウルフル」という表現が珍しくなくなったほど多様化してグローバルな日本の音楽シーン
今や洋楽に負けないくらいのレベルであると断言できるくらいになってきた

でもその一方で「黒人のような歌声」といった表現に違和感を覚えるのは否めない

どうして「○○のような」とか「○○っぽい」である必要があるのか、と

日本には日本の文化があり、そこで暮らしてきたならその文化の土壌をベースにしてその人ならではの表現方法があるはずで、(勿論、色々な洋楽などのオトなりミュージシャンから音楽的かつ精神的に影響を受けた上だとしても)それは「○○のようなオト」かもしれないが「そうじゃないもの」であるはず

いや、そうしなきゃオリジナリティと言えないのではないか

「黒人ぽく聴こえた」ら本人が満足ならそれはそれでいい
でも「黒人」(・・・本当は「アフリカンアメリカン」と言うべきだがここではわかりやすく)には黒人のゴスペルなりの文化的背景があるから必然的にそういう歌唱法になるのであり、それを全然違う文化背景を持つ日本人がスタイルだけ真似して何の意味があるのかと

意味なんて要らない
そう言ってしまえばそれまでよ

でも、黒人ぽい、ってそんなに凄いことなのか?と思うのである

絢香、という人をちゃんと聞いたとき、この人は凄いなと正直に思った
黒人っぽいとかいうのでなく純粋に好きな歌そのものを突き詰めようとしている姿勢がオトに表現されているのを感じたからだ

スタイルでなく精神的な面で音楽を表現しているその姿勢は最早「○○ぽい」を超越している感すらあるかもしれない


ところでSUPERFLYといえば真っ先に思い浮かべたのがカーティス・メイフィールド

カーティスって(テクニック的な面だけでいうならば)声の線が細くて決して巷でいう「ゴスペルっぽい骨太の歌唱法」じゃないどちらかというと不器用な歌である

でも世界を見守る視線は厳しくてそれでいて優しいその声はいつも心にグサリとくる
個人的な事だが俺の最もリスペクトするミュージシャンの一人である

彼の遺作『NEW WORLD ORDER』
彼にしか表現できない、優しくて切なくて熱いオトがここに詰まっている
○○っぽい



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Posted by ケンスコ at 12:41│Comments(0)
 
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